FXでは手法よりも大切なものがあります。もちろん手法も大切ですがそれ以上に大切なのがロット管理、つまり資金管理になります。
これができていないとどんなにいい手法を使っていても負けてしまうんですね。勝てるはずなのに何年もやっていて勝てていないトレーダーはこのロット管理ができていない場合がとても多いです。
このロット管理さえできるようになれば、実はそんなに難しい手法を使わなくても勝ててしまうものなんですが、
ロット管理というのが曲者で、できる人は当然のようにできてしまうけれどできない人はいつまでたっても、意識していてもできないものでもあります。
つまり、ロット管理ができていないから勝てていないと自覚していてもそれを実際のトレードで使う事ができないということになります。
せっかくロット管理を勉強しても使えなければ意味がないので、そういった場合にはしっかりと自分を強制してロット管理ができるようになっておきましょう。
FXはロット管理がトレードのパフォーマンスを左右する
FXでは、ロット管理がトレードのパフォーマンスに直結する要素になります。
せっかくシナリオ通りに価格が動いてもロット管理ができていない為に…
- 強制決済になる
- 大きな損失を被ってトレードに影響がでるほどメンタルに傷を負う
とロット管理ができていないと、トレードのパフォーマンスに大きく影響してきます。
このことを理解して正しくロット管理をする事でトレードのパフォーマンスが安定していきます。(もちろん、その他の手法やメンタルなんかも関係するが。)
実際のところロット管理といってもそんなに難しい物はなくそれをトレーダーが実行できるかどうか?という問題しかないので実行できるようになっておきましょう。
- 損切りは自己資金の2%
- 1度に取るリスクを限定する
概ね上記の2つをやっておけばOKです。では、詳しく解説していきます。
損切りは自己資金の2%
まず、始めにロット管理で重要になるのが、1回のトレードの損切り額は自己資金の2%に設定するという事。
原則として2%が推奨されてますが、1%でも3%でもまあ良いっちゃ良いです。(結局はその人の資金量と性格による)
ですから最初は統計的に良いとされている2%でやってみて、それで損切りができないようであれば、いろいろな数値を試してみると良いですね。(もちろん自己責任で)
ロット管理で1番重要になってくるのは、あなた自身の許容できる損切り額を理解しておくことになります。
となっても、実際に損切りする場面になって損切りができなければ意味がありません。(ここが資金量や性格によるという部分)
2%ルールの優位性に関する逸話
2%ルールもいろんなところで推奨されている手法であって優位性があるのも確かな事実です。
以下は私が聞いたあるトレーダーさんの小話。
毎月数十万と稼ぐスーパートレーダーがいました。その人は今まで何年間も継続して2%ルールでトレードして月数十万と稼いでいた。
が、そのトレーダーが何を思ったかある月から4%にしました。
すると途端にトレードのパフォーマンスが悪化して結果的に破産しました。
という小話なんですが、これはたった2%の損切り額の違いで破産したトレーダーの物語。
それだけ人間が絶対額としてではなく%による相対額に対しての心理的影響の大きさを物語っています。
その点2%の損失に抑えておけば大きく負けることはないし、負けても1回の損切り額が小さいので、その分トレードが上達していきどんどん負けなくなってきます。
≫FXの資金管理で鉄則のルールとは?これが守れないと必ず破産する
資金管理2%ルールを遵守する上で大事なポジションサイジングという考え方があるので下記記事を参考にして使えるようにしておきましょう。
≫FXの資金管理の必須テクニック【ポジションサイジング】について解説する
1度に取るリスクを限定する
もう1つは1度に取るリスクを限定する事エス。
これには明確な指標はありませんが、ポイントは
- あなた自身が管理しきれるポジション数
- 証拠金不足で強制ロスカットにならないポジション数
上記が目安になります。この辺は、資金量・管理能力・トレードにかけられる時間によって人それぞれになるのであなたのしっかり管理できるポジション数を把握しておきましょう。
複数通貨ペアを見る事でトレード数は増やす事ができますが、1つ1つのトレードが雑になる可能性があるのでそこはバランス見てって感じです。
多くのトレーダーが早く稼ぎたいあまり、たくさんポジションを持ってしまいがちではありますが
多くのポジションを持つとその分負けるリスクも高まるし、上でも述べたように各ポジションの管理が雑になってしまう。
相場は刻一刻と動いているので、
- 昨日までの目線とは違う目線が出てきた
- 昨日描いたシナリオが否定されて新しいシナリオに入っていった
なんて事が日常茶飯事ですから、ライフスタイルやトレードスタイルなんかとも相談して慎重にポジショニングしていきたいところですね。
≫FXの1日のエントリー回数は?取引回数を制限しリスクを限定する
FXトレードの具体的なロット管理・ポジション管理の方法
さて、ここからは具体的なロット管理の方法を解説していきます。
具体的なロット管理の方法は…
■ロット管理の方法
- 2%ルールに基づいたポジションサイジング(ロット数変動型)
- ロット固定でトレードしていく方法
■ポジション管理の方法
- 建値決済
- トレーリングストップ
上記の3点でしてこれができるようになると負けトレードが格段に減ります。(もちろん手法によるが)
2%ルールに基づいたポジションサイジング
ロット管理の方法として最もポピュラーな手法の1つである2%ルールですがこれは2%なら2%でポジションの大きさを調整するのでポジションサイジングと呼びます。
が、このポジションサイジングちょっと計算がめんどくさいですよね。
というのも、通貨ペアによってはpips×ロットの公式が当てはまらないから。でありますが、CADJPYとかUSDCADなんかはその典型例です。(pips×ロット×0.8しないといけない)
そこで便利なのがポジションサイジングツールなんですね。別に使わなくてもざっくり計算でやるのも良しですが、あると便利なので下記記事を参考にして使ってみてください。
≫ポジションサイジング計算ツール【Mataf】の使い方解説【画像付きで解説】
という方は下記記事で詳しく解説しているのでこちらも参考にどうぞ。
≫FXの資金管理の必須テクニック【ポジションサイジング】について解説する
ロット数固定でトレードしていく方法
ポジションサイジングは、各トレード毎にロットサイズを変動させていくのに対して、ロット数固定でロットサイズの変動がないため、トレードに集中して行う事ができます。
もちろん、これがメリットでもあり、デメリットでもありましてロット数固定だとその人のお金の器にロットサイズが限定されるんですね。
というのも、ロットサイズが固定されていると損切り額はトレード毎に大きくも小さくもなりまして
仮に、10万円の損切りができない人が10万通貨でトレードするのは現実的ではない。
そういった場合には、更にロットサイズを落として損切りが余裕でできる水準にロットを落とさないといけません。
というように、お金の器が大きく関連してくるので、投資金とあなたの心理状態によって大きく成果が違うのがロット固定のトレードスタイルですね。
ロット数固定の場合にはどのタイミングで出金するかも重要になってきまして
出金のタイミングを間違えるとせっかく得た利益がなくなってしまう可能性があるので注意が必要です。
(もちろん、2%ルールに従う場合でも出金は大事になります。)
ロットサイズは固定と変動のどちらが良いのか?
さて、上記でロットサイズ固定型と変動型の両方を解説しましたが、どちらの方が良いのか考えていきましょう。
結論から言ってしまうと人による。(ここも個人の性格だったりが関係してきて一概にこれが正解とは言い難いから)
個人的に感じる事としては、
- 変動型 → 慣れるとロットサイズを上げる事も容易にできる(2%ルールに則って自然とロットが上がるから)
- 固定型 → ロットを上げるタイミングが重要になる。(多くの場合でロット上げても大丈夫だ!と思ってもそれは失敗する)
といった感じでどちらにもメリットデメリットがありまして、一概にどれが良いというのは言い難いのが本当のところ。
実際に勝っているトレーダーのロットサイズの実例
では私が交流させて頂いているトレーダーさんのロットサイズの実例を一部紹介していきます。
■ロット変動型
- Aさん 2%ルール 7通貨ペア監視 証拠金150万
- Bさん 2%ルール 24通貨ペア監視 投資金100万 証拠金10万
■ロット固定型
- Cさん レバレッジ10倍 3通貨ペア監視 2倍になったら出金
- Dさん レバレッジ10倍 1通貨ペア監視 月末になったら出金
こんな感じです。
上記はどちらでも勝つことができまして、全員に共通しているのは「自分にとってどっちが良いかを考えて決めている」という点ですね。
どちらでもよいので検証したり、あなた自身の心と向き合ったりして決めていきましょう。
建値決済
ポジション管理の方法の1つ目は建値決済です(同値撤退とも言います。)
■建値決済とは…?
エントリー時のレートと同じレートで決済する事。
ある程度トレードした経験がある方ならば理解できると思いますが、
- 利益方向に動いたと思ったのに、気が付いたら損切りにかかっていた
- 損切りポイントに到達したから損切りしたのに、エントリーレートまで戻ってきた
上記の事は往々にある訳でして、1回ならまだしも何回も連続してそうなると次第にトレードルールが守れなくなる可能性があるんですよね。
そのソリューションとして建値決済は使う事が可能です。
■建値決済の具体的なやり方
- ある程度利益が乗ってきたところでエントリー時と同じレートに逆指値(ストップ)を移動させる
- エントリー根拠がエントリーレートよりも有利な位置で発生した場合に移動させる
- エントリーレートよりも上の抵抗体(サポート・レジスタンス)を抜けたら建値にストップを移動させる
といった感じです。
ここで注意しておきたいのが
建値決済を早く入れすぎない。ってことですね。早く入れすぎると狙った方向に動く前に決済してしまう事になるからです。(と言っても負けてないから心理的負担は軽減されますが)
建値決済は上手く使う事でトレーダーのエントリーに対する心理的ハードルを下げる事ができるので上手く使いこなせるように検証しておくと良いですよ。
建値決済の発展系:分割決済
建値決済の発展系として、分割決済というのも存在します。
■分割決済とは?
文字通り、ポジションを分割して決済する事でして、もっともポピュラーな方法として
2ロットもって1ロットは直近の抵抗体で利確して、残り1ロットで建値において利益を伸ばしていく方法がある。
と思うかもしれませんが、相場はどっちに動くかは誰にも予想できない。抵抗体で止まるかもしれないしそのまま続伸するかもしれません。
せっかく得た含み益を取り逃してしまう。そうした対策として分割決済が効果を発揮する場合が多いです。
■分割決済をする目的
- 含み益を減らさない為の施策として
- 含み益が減って心理的に悪影響があるのを排除する
- 利益を伸ばす時にノーリスクで伸ばす事ができる
- トレーダーの心理状態を良好に保ちやすいから負けにくい
といった事が挙げられます。
繰り返しになりますが、相場では上がるか下がるかは予測できません。その対策としてうまく分割決済を活用する事で本来得られたはずの利益がみすみすなくなってしまう事を少なくすることが可能になります。
大事なのは、利益を取る事が目的ではなく、利益を取る事ができたのに取れなかった。という事実を少しでも軽減させてトレーダーの心理状態を良好に保つ事で負けない。
というのが分割決済の1番の目的になってきていると思います。
トレーリングストップ
ポジション管理の2つ目の方法はトレーリングストップです。(トレールとも言う)
■トレーリングストップとは?
ある一定の基準に従って利益方向にストップを徐々に動かしながら確実に得られる利益を増やしていく方法
トレーリングストップには2種類ありまして
- 手動でトレーリングストップする方法(自分でチャート見てトリガー発動の度にストップを上げていく)
- 自動決済(MT4を採用している証券会社の中には自動決済してくれるものが存在する)
上記の2種類でして、当ブログを読んでいる方はデイトレードかスイングトレードをする方だと思いますので、関係してくるのは手動のトレーリングストップですね。
手動は自分でチャート確認をしてストップを上げていく必要がある為、必然的にチャートチェックができる時間軸に絞られます。(最低でも1時間足~が現実的)
トレーリングストップの大きな目的は本来得られたであろう利益を逃す事のないように相場に合わせて利益の最大化を図る事ができる点ですね(もちろんその判断を誤れば失敗はする)
がこれもトータルで見た時に結果がどうか?といった点から見ていく事がとても重要になるので検証が必須のテクニックになります。
トレーリングストップを手動で行う方法
前提としてスイングトレード以上になりますが、手動でトレーリングストップをする事も可能です。
- ピンバー発生でストップを引き上げる
- ダウ理論に基づいて高値更新でストップを引き上げる
上記のようにしてストップを手動で引き上げていきます。
トレーリングストップ込みの検証ができていれば利確ポイントについて考える必要がなくただ、相場についていくだけでいいのが利点ですね。
が、取引時間軸が短いとそれこそ相場に張り付いていないといけなくなってしまう為、4H足・日足以上のスイングトレードで実践する事が好ましいです。
FXは事前の準備でほとんどが決まってしまう
トレードのロット管理でもそうですが、FXは事前の準備でトータルで勝ち越せるのか?それとも負けてしまうのか決まってしまいます。
そこで、トレーダーにとって重要な事項が以下の2つ。
- エグジット戦略の必要性
- エントリーよりも大事な事
エグジット(出口)戦略の必要性
エントリーがあるならば、エグジット、つまり出口もないといけません。
が正直なところ、ほとんどのトレーダーがエントリーばかりに注目してしまいがちでエグジットに重きをおいていない事が分かります。あなたもそうではないでしょうか?
例えば、
同じ100.00のレートでエントリーしても、見ているものによって98.00で損切りする人と102.00で利益確定する人といる。
ここに、エグジットの重要性が潜んでいるんですね。つまり、エントリー価格は同じでもエグジットの仕方によって勝ちになるか、負けになるかも違ってきてしまうという事。
≫FXトレードのエントリータイミングの探し方【これだけでは勝てません】
エグジット重視のトレーダーが見ている要素とは?
- 勝つことよりも負けない事
- 複数の値動きのシナリオを考慮している
- 見ている時間軸の大きさ
上記の要素をトレードで見ていく事がエグジット戦略では重要になります。
このような観点からエントリー判断をしていくとエグジット前提で考えているから結果として負ける事が少なくなってくるんですね。
戦争でも、政治政策でもうまくいったのは出口戦略をきちんと作っていた方です、ただ有利だからという理由だけで無策に飛び込めば必ずやけどしますよ。
エントリーよりも大事な事
さて、ここまで読んでくださっている賢明な方であればもうお気づきかもしれませんが、
トレードではエントリー云々よりも、負けない事を常に意識して運用する。
これがなによりも肝要なマインドセットなんですよね。
結局のところエントリーポイントがどこであっても勝つトレーダーと負けるトレーダーに分かれる訳でして、その差は何か?と言うと負けない事を意識しているかそうでないか。
負けない事を本当の意味で理解して腑に落とすのは人によっては時間がかかる作業ではありますが、確実にどんなトレーダーでも負けない事を意識しないといけない日が来るので今の内から意識しておきましょう。
≫【超重要】FXで勝つことよりも重要な負けない事について【初心者ほど難しい】
まとめ:FXはロット管理とポジション管理が収益に直結する
記事の内容をまとめます。
■FXトレードのロット管理の方法
- 損切りは自己資金の2%
- 1度に取るリスクを限定する
■具体的なロット管理・ポジション管理の方法
- 2ルールに基づいたポジションサイジング
- ロット固定でトレードしていく方法
- 建値決済
- トレーリングストップ
といった感じになります。
それで、FXトレードでは、ロット管理とポジション管理が収益に直結すると言っても過言ではありません。
というのも、エントリー前後にトレーダーがする仕事がロット管理とポジション管理だから。(ポジション管理はエグジットに近いが)
とにかく、ロット管理とポジション管理を怠ってしまっては、どれだけ良いレートでポジションが持てていても
- 損切りに合ってしまう(資金力が足りなかったり、想定よりも損が膨らんだり)
- トータルで利益が出ない(ポジション管理が上手く使いこなせていない為に利確ポイントの判断が難しくなるから)
といった事態になってしまうんですね。
長くトレーダーをしているとロット管理やポジション管理の重要性に気が付くことができますが、始めたてトレーダーはそうはいきません。(チャートばかりに目が行くから)
チャート分析ももちろん大事ではありますが、チャート分析はロット管理とポジション管理ができるようになってから習得しても遅くないです。
是非同時並行で検証していってより早い段階で気が付けるようにしてくださいね。