EA運用では、裁量トレード同様に、裁量判断を下す必要があります。
その裁量判断には、基礎的なところで経済指標や、金融政策。
発展的なものではテクニカル分析と多岐に渡ります。
ここであなたが疑問に思うのは
え?EAってほったらかしで利益がでるんじゃないの?
ってことだと思います。たしかにそういう側面もありますが、それは裁量判断ありきでの話なんですね。
売る側の事情としてもやっぱり、ほったらかしで利益が出る。とかそういう謳い文句のほうが売れるんですよね。
みんな楽したいから笑
ただ、現実問題そんなことはなくて
どんなEAであれ裁量判断で稼働のオンオフはしないといけないのが本当のところなんですね。
今回はそのあたりに踏み込んで解説していきます。
ちなみにこの記事を書いている僕は
EA運用歴は半年ほどでEAを飛ばした経験もありますし、今は月利3%〜5%ぐらいで運用しています。
【自動売買】EA運用の仕方と注意点を解説
まずはEA運用の仕方から解説していきます。
■EA運用の仕方
- バックテストで過去のデータを取得する
- その結果がある程度満足できるものであったら少額でテストする
- テストするときは負ける時期を重点的に見て分析をしていく
- どんな時期にドローダウンしているか把握したら、リスクを抑えつつ運用していく
上記です。順番に解説していきますね。
1.バックテストで過去のデータを取得する
まずはバックテストで過去のデータを取得していきます。
■過去のデータを取得する際の注意点
・過度に最適化しすぎない
・利益よりも負け額や負ける時期に着目する
上記の2点に注意して過去データの取得をしていきましょう。
特に自作でEAを作る場合には、バックテストの結果を最適化しすぎて実際の相場では全くの使い物にならないといったEAも存在しているので注意が必要です。
また、やっぱり人間ですので、利益に目が行きがちですが、あくまでもバックテストの目的は
- そのEAに優位性があるかどうか(長期で見て収益が右肩上がりか?)
- どんな時に負けるのか?
- 最大のドローダウンは?
- EAのロジックは何か?
といったことに着目しておくと実際の運用の時に負けづらいポートフォリオが組めます。
2.その結果がある程度満足できるものであったら少額でテストする
2つ目は、1のバックテストの結果がある程度満足できるものであったら少額でテストする。です。
ここでは、満足できるもの、ではなく”ある程度”と表現していますが、ここにも意味があります。
結局のところバックテストは過去の値動きのデータから導き出された結果です。
つまり、現在の相場でも通用するかどうかはどれだけバックテストを極めても分からないということ。
ここが重要で、満足が行くものを求めてしまうがあまり、いつまでたっても実運用に耐えられないということになり兼ねません。
そのためにもある程度の満足という表現をしています。
■少額運用の運用金目安
・スタンダード口座であれば 1000通貨
・マイクロ口座であれば 100通貨
上記が運用金目安になります。要するに各口座の最低金額で取引すればOKです。
3.テストする時は負ける時期を重点的に見て分析していく
少額でテストする時は負ける時期を重点的に見ていきましょう。
テストする時に確認すべき事としては
・どんなロジックで動いているのか?(ナンピン系やトレンドフォロー系など)
・証拠金維持率の変動と適正ロット
・大きなドローダウンの時期と割合
上記の3点は必ず確認するようにしましょう。
あなたが実際に運用するにあたってこれらの事が理解できていないと稼働判断を誤り大切な資金を飛ばすことになりますから十分注意してくださいね。
4.どんな時期にドローダウンしているか把握したら、リスクを抑えて運用していく
3でテスト運用して分析が完了したら、いよいよ運用開始です。
当然ここではリスクは徹底的に排除して運用していきます。
■リスク排除の具体的方法
- 重要な指標発表や政治事象の回避(米国・英国の大統領選挙、コロナウイルス騒動など)
- 市場参加者が著しく減る時期(年末、ゴールデンウイーク、夏休み、春節(旧正月)
上記は確実にEAの稼働を停止させるものになります。
稼働していれば利益になる事もまあありますが、そこはあくまでも結果論でしかありません。
きちんとリスク排除していく姿勢がEA運用者には求められます。
重要な指標発表や政治事象
重要な指標は票や政治事象は気にしだしたらキリがありません。
そのため、あなたの裁量で判断して稼働していく必要があります。
■重要な経済指標
・各国GDP
・各国政策金利
・米国雇用統計(毎月第1金曜日)
・米国政策金利
上記です。各国のGDPや政策金利は、運用するEAの通貨ペアによって判断していきましょう。
・EURUSD → ユーロと米国
・USDJPY → 米国と日本
といった具合です。
米国雇用統計や米国政策金利は大体の通貨が影響を受けるので大体の通貨ペアで稼働停止する事を推奨します。
■大きな政治事象(2020/4月時点)
・2016年10月 米国大統領選挙
・2020年1月 英国EU離脱
・2020年2月~3月 新型コロナウイルス
・2020年10月 米国大統領選挙(これから)
大きな政治事象は上記のようになります。また、他にも石油減産だったり各国の大きな政治事象はありますので
こちらもしっかりと目を光らせておく必要があります。
指標発表と違って、いきなり来る事もあるので経済ニュースは必ずチェックしておきましょう。
市場の参加者が著しく減る時期
■市場参加者が著しく減る時期
・年末年始 12月中旬~1月初旬
・中国旧正月(春節) 1月下旬~2月上旬
・ゴールデンウイーク 4月下旬~5月上旬
・夏枯れ相場 8月上旬~8月中旬
上記の相場では、相場参加者が少なくなり、株式でいうところの板が薄くなる傾向になります。
板が薄くなるということは、少し大きなマネーが入ってくるだけで大きく相場が変動します。
つまり、普段とは違うボラティリティが想定されるということ。
ですので、上記の相場参加者が減る時期のEA稼働はリスク回避の思考で停止する事が求められます。
トレーダーならば記憶に新しい2019年末に起こったフラッシュクラッシュも年末の板が薄い時に発生しています。
残念だけどEA運用はほったらかしは無理
上記の内容を理解してもらえれば、EAをほったらかしで運用することが現実的でない事は火を見るよりも明らかな事実です。
- ほったらかしで億万長者
- 何もしないで毎日お金を稼いでくれる
上記のような謳い文句でEA販売者は誘ってくる訳ですが実際のところそんなに甘いものでありません。
きちんとあなた自身の目でバックテストをしてそのEAの特徴とドローダウン時期を確かめてから運用していきましょう。
投資・投機の世界では損する事も利益を出すこともすべて自己責任の上に成り立っています。
損をしたのはあなたのせい、利益を出したのはあなたのおかげ。これがきれいごとではない真実ですよ。
FXトレーダーがEA運用に必須のマインド
EA運用に必須のマインドは以下の通りです。
- 短期視点ではなく長期視点で見る事
- 過度な好成績は求めない
- 利益を出す事よりも負けない事
- 利益が出たら出金をする
上記はEA運用をする上で必須の考え方になるので必ず押さえておきましょう。
1.短期視点ではなく長期視点で見る事
1つ目は、短期視点ではなく長期視点で見る事。
・3ヵ月で10倍になったEA
・1年間で2倍になったEA
上記の2つがあったとしたらどっちを使いたいですか?
もちろん前者ですよね。ただ、問題はEAにおいて大きな利益をもたらしてくれるものはほとんど破綻しています。
一定の相場ではうまくロジックがはまって稼げますがいつまでもそうではないということ。
また、誰しも短期的な儲けのほうに目が行ってしまいますが、投資は本来長期で行うものです。
EAも投資として行うのであれば、長期視点で見る事をできるようにしておきたいですね。
2.過度な好成績は求めない
2つ目は、過度な好成績は求めない。ということ。
あなたはEAの運用月利の目安を知っていますか?
1.平均月利20%~30%
2.平均月利10%~20%
3.平均月利3%~10%
上記の内どれでしょう?
はい、答えは、3の平均月利3%~10%です。
とあなたは思ったかもしれません。ですがそれが本来のEAに求める期待リターンなんですよ。
平均月利3%で10年稼働させたシュミレーションをしてみましょう。
■資金100万円 平均月利3% で10年稼働させた場合
(1.03)120乗=34.7
100 × 34.7 =3470 3470万
上記のように資産拡大していきます。これが複利の力なんですね。またこれも最低の月利3%で稼働させた場合ですので実際にはもっと大きく資産増加を見込む事が可能です。
つまり、月利3%であっても時間のレバレッジを聞かせる事で途方もない金額まで辿りつくことができるんですよ。
3.利益を出す事より負けない事
3つ目は、利益を出すことよりも負けない事。です。
これは裁量トレードでもEAトレードでも同じなんですけど負けない事を意識した人が結局利益を享受できるのがトレードの世界なんですよ。
・指標発表時間に近づいてるけど含み損だからまだ動かしておこう
・EU離脱で大きな値動きが懸念される時だけど案外大丈夫そうだから稼働させよう
上記の2つが利益優先に動いている行動になっているのが分かりますか?
実際に筆者がやってしまった失敗になるのですが、この判断がかなり命取りになるんですね。結果的に利益がでたとしてもです。
むしろ利益が出た時が危険です。それが変な成功体験として頭にこびりついてしまうからですね。
正しい判断は
- 指標発表が近づいて含み損抱えているけどトータルではプラスになるから今稼働停止させよう
- 今はあまり動いていないけどいきなり動くかもしれないから稼働は見送ろう
と判断するのが負けないためにあなたができる事なんですよ。
その判断が結果として機会損失になっていたとしても、これから何年何十年とトレードしていく訳ですから大きなリスクが内包している相場では稼働停止しておくことが賢明です。
4.利益が出たら出金をする
4つ目は、利益が出たら出金をする。です。
これは意外かもしれませんが、利益が出ても出金しない人が多いんですね。
・単純に細かく出金するのがめんどくさい
・複利でどんどん増やしていきたいから
上記の理由が挙げられます。特に2つ目の複利でどんどん増やしていきたいという人が大半です。
当然複利でどんどん増やしていく事は重要なので否定はしませんが、出金は定期的にかけておく必要があります。
理由は以下です。
・実際の自分の口座に入って稼いだ事を体感する
・これからも安定して稼げるかは分からない
上記の2点でして、利益が上がる状態はあなたがルールを守ったからこそですよね?
ということは出金してその一部をご褒美に使うのもありですし、生活費の足しにしてもいいですよね。(稼いだお金でのご褒美は効果的)
出金しないままにしておくと、それは証拠金として担保されていますから今は良くともどこかで資金がなくなる可能性は常にあります。
上記の2点の理由により定期的に出金しておくことを意識しましょう。
■出金基準の参考
・証拠金が2倍になったら出金する
・毎月月末に出金する
どんな方法でも構いませんが、確実に利益を手元に残しておく事が大事ですよ。
まとめ:長い目で見て資産増加していこう
記事の内容をまとめます。
■EA運用の仕方と注意点
- バックテストで過去のデータを取得する
- その結果がある程度満足できるものであったら少額でテストする
- テストする時は負ける時期を重点的に見て分析をしていく
- どんな時期にドローダウンしているか把握したら、リスクを抑えつつ運用していく
■EA運用に必須のマインド
- 短期視点ではなく長期視点で見る
- 過度な好成績は求めない
- 利益を出すことよりも負けない事
- 利益が出たら出金をする
上記の内容をきちんと踏襲していけば、EAで損を出すほうが難しいレベルになると思います。(もちろん長期で)
それで、EA運用にしても裁量トレードにしてもこれから何年、何十年とあなたが生きていく限りは運用していく必要があるんですね。
生きていくにはお金がかかるから。
短期的に即金でお金が欲しい気持ちは非常によく分かります。(実際に私も最初のころはそうでした笑)ただ、どこかで気が付きます。
そこで自分で大損したり、数百万単位でお金を投じて気が付くよりもこの記事を読んで理解してもらえたらと思います。
長期視点になると短期もよくなってくるものですから長期を意識して息の長い資産運用をしていきましょう。